■デジタル小信号MOSFET 2SK1132でシングルバランスミキサ
■概略
いわゆるアマチュアレベルの無線機などでは、高線形性のダイオードを用いたダブルバランスドミキサが主流であり、物によってはシリコンバイポーラICで実現されたギルバートセルミキサが使われることもあるようですが、基本的にダイナミックレンジの点で不利になるようで、ダイオードによるパッシブミキサが主流のようです。(FETでもリングミキサでどうようにやってますね)
しかし、近年2.4GHzや5.2GHzなどのWLAN向けRFフロントエンドではCMOSプロセスを用いたMOSFETで回路が構成されています。SiGeバイポーラやGaAs等もありますが。PAとかはそうですね。んでアマチュアレベルではMOSFETは駄目なのでしょうか?調べてみるとあんまり無いですね・・・(メリット無いからだろうな・・・)
まあ、アンプは他の方に任せるとして(線形いまいち興味なし、おい)、ミキサに関して色々興味のあるところなので(非線形大好き)
デジタル小信号MOSFETで、シングルバランスミキサを実験してみました。

なお、ここで用いるMOSFETはサトー電気さんで安く売られているNECさんのNMOSFET 2SK1132というデジタル用小信号MOSFETです。安いですし、コンプリのPMOSFET(2SJ165)もあるのがポイント高いですね。
なお動作点合わせやらの話は一切なしです。また、この実験内容に関して私は一切保証しません。測定機材も大変限られているので(数値の読めないペン型オシロとテスタしかない)突っ込んだことも調べられませんが、ある程度は手計算でできたらなぁ、というモチベーションです。はい、聞く気もなくなるでしょ?(をい)

■実験目標
とりあえず、実験範囲を狭めます。
・NMOSFETを3つ用いたシングルバランスミキサ
・トランス・インダクタは用いない
・ローカル発振器もつける(ただしPLL等での安定化はなし)
・信号入力は今回はON/OFF
・ローカル周波数は10MHz
・利得・線形性等は一切気にしない。とにかく動かすことに注力

■詳細説明
回路は下図の通り簡単です。


差動アンプの形で、普段差動MOSFETペアの下にある電流源が、信号源となります。
対になるMOSFETの片方のゲートにローカル信号を入れ、もう片方のMOSFETには、DCバイアスだけを掛けます。本当は、両方に差動信号を入れたらよいのでしょうけど、回路が複雑になるのはイヤなので。片一方だけスイッチがキチンとON/OFFして、もう片一方は半分なまった状態で放っておいてあるような感じです。
片方がONになれば、電流が流れず、一方がOFFになれば電流が流れ出すという。
結構微妙な動作点を設定しないと綺麗に動かないと思います。
(きちんと動かしたい方はインバータをつないで逆相信号を作るか、疑似差動アンプで逆相信号を作るか、ポリフェイズネットワーク等で作るなどいかがでしょう。あーアクティブバランなんかもいいなー)
バイアスは、ローカルには5Vの半分の2.5Vを抵抗分圧で入れています。ローカル信号が入っていない方は、セラミックコンデンサで入念にRF分を落とすようにします。(なまるからなー)
今回は、信号入力がON/OFFなのでこの程度でいいでしょう・・・ まあ基本として差動スイッチ動作、というところでしょうね。本当はもう少し色々あるのでしょうけど、MOSFETですしね。

ローカルオシレータは、TC74HCU02のインバータに負帰還抵抗1Mと共振器として10Mのセラロックを並列につないで実現しています。

ローカルアンプは、ローカルオシレータに用いたインバータのとなりに接続してまして、信号の電力増幅及び変調経路とのアイソレーションの確保をねらっています。入力がほぼ矩形波なのでこれでいい。出力される振幅が小さいとこうはいかないから・・・

信号源は、プルアップしたスイッチです。ちょっと乱暴ですかね(苦笑)
でもお陰様でバイアス回路は手抜きできました。
これでスイッチを操作して、秋月電子のペン型オシロスコープで波形を確認しました。以下のようになります。


まあ、動きましたという報告で。
そりゃ動くだろう、MOSFETで差動スイッチ作っただけなんだから・・・とかいうのは無い方針で。

[EOF]
霧沢 潤(ccho-fx@[スパムよけ]erex.sakura.ne.jp)